彼の話を聞くのは好きだ。クラスでの話、部活の話、寮での話、マジカメで見つけた素敵カフェの話、他にも色々。話上手な彼は私がよく知らない物事の話も退屈しないように身振り手振りを交えて伝えてくれる。それに相槌を打って、笑って、そんな時間も好きな時間である、はずだったんだけど。
無意識だった。楽しそうに話す彼の言葉を遮るようにその袖を引いて、「どうしたの?」と問いかけてくるその頬に口付けた。ハッと我にかえった時には彼は驚いたように目を瞬かせていて、私は大慌てで謝ることしかできない。
「ちゃん、」
「ごめんなさい、ほんと、ごめんなさい、急にこんなこと……」
「ちゃん、顔上げて、」
申し訳なさに俯く私に、彼は優しく声をかける。その言葉に従いゆるゆると上を向くと柔らかく温かいものが唇に触れてゆっくりと離れた。
目の前の嬉しそうにニンマリと笑う彼の表情に自分の頬がみるみるうちに熱くなるのを感じる。こんなにあっさり仕返しされるなんて。いや、もともとそういうつもりでキスしたわけではないけれど。そんな私を他所に、彼は楽しげにくすくすと楽しそうに笑う。
「け、ケイトくん、」
「ねえ、ちゃんさあ、もしかして、オレの話色々聞いて嫉妬してくれたりしたの?」
名前を呼ぶと、朝露に照らされた若葉のような色がすうと細くなる。嫉妬、なのだろうか、これは。彼の学友とか、マジカメとかに対して……? 自分の感情の名前がよくわからず戸惑う私を見て、彼はさらに続ける。
「そうだったら、オレ、めちゃくちゃ嬉しいんだけど」