「ちゃんはハロウィンの仮装ゾンビの花嫁とかどう?」
オレの突然の問いかけに画面の向こう側のは「どう、って?」と首を傾げる。テキストメッセージや音声通話も悪くないけれど、ビデオ通話は彼女のこういうリアクションが見れて好きだ。なんだか可愛くて思わずくすくすと笑い声を漏らしてしまう。
「だって前言ってたじゃん、うちの学校のハロウィン来てみたいって」
だから、折角なら仮装して来て欲しいと思ったのだ。「こういうのアリだよね〜」と通販サイトのひらひらの衣装をスワイプしながら話を続ける。
「プロムはまだ先だけど、予行練習も兼ねてエスコートさせてよ。あっ、もちろん交通費とかあるし、無理にとは言わないけど!」
ついでに、この先のプロムも誘う気でいると匂わせてみると、「そういうのずるいです、」と目を逸らして耳まで赤くするから「ごめんごめん、」と手を合わせて眉を下げてみる。
「でもさ、本当にちゃんとハロウィン過ごしたいなって思ってるんだよ。なんだかんだ、去年も一昨年も忙しくて電話すらできなかったし」
そう言って「ね?」と微笑むと、彼女はしばらく考えるような表情をしてから「……じゃあ」と口を開く。
「じゃあ、あの、行きます、……行ってもいいですか?」
「えっ! 本当に!? もちろんオレはオッケーだけど、結構急だよ? 大丈夫!?」
「えっと、バイト代、貯めてるので……」
こういう時に使いたいなって思って貯めてるお金なので、とどんどん彼女の声が小さくなっていくにつれてオレの顔はどんどんニヤニヤと緩んでいく。
「そっかそっか、じゃあ、当日はオレがしっかり案内するから、任せといてね♪」
そんな上機嫌なオレが、ハロウィン実行委員選抜のくじ引きの結果、見事当たりを引き当てて頭を抱えることになるのは数日後のことである。
「えー! じゃあ当日ちゃんを案内できないじゃん!」