Jewelry Box宝石箱のひみつ
since.2020.05.27

触れる

‪ ちゃんは手を繋ぐのが好きなんだと思う。

 向かい合ってハグしてる時とか、頭を撫でてやってる時とか、あとキスする時なんかは恥ずかしがったり目を逸らしたりするし、自分からしたいとは滅多に言わないくせに、手を繋ぐ時は絶対に嫌がらないし、振り解かれることはないし、なんなら時々彼女の方から自然にするりと手を伸ばしてくる。指摘したら恥ずかしがってやらなくなっちゃいそうだから絶対彼女には言わないけど。‬

 今日も隣を歩いていると、そっと指先が触れて、そのまま手を握りしめられていた。たぶん無意識だ。他の奴にはこういうことやらないでね、と密かに思いながら指を絡めるように結び直してやる。そうすると驚いたようにこちらを見上げてくるからパチンと一つウインクを送る。そうすると彼女がそれ以上何か言うことはない。小さな手はオレの手の中に収まったままだ。気分が良くなってきたから、淡いピンクでつやつやに塗られた親指の爪を撫でてみる。そうしていると、流石に黙ってはいられなくなったのか、彼女は「もう、」と声を上げてこちらをまた見上げてきた。

「ねぇ、ケイトくん、何?」

 頬を染めて困ったように眉を下げるその表情が一等好きだ。「なんでもないよ〜」と答えて軽く彼女の手の甲を擽ってやる。ちゃんの方から手を繋いできたんだから、オレの好きなようにしても良いよね、だなんて、少し意地悪なことを考えながら。