「、腰上げて」
ケイトくんは『ちゃん』と優しげな声で呼んでくるのに、こういう時だけたまに呼び捨てにしてくる。まるでパブロフの犬みたい。彼にその呼ばれ方をされたら、たとえ昼間だとしても、条件反射で夜の出来事思い出して、全身蕩けてしまいそうだ。
熱に浮かされた脳は正常な判断ができなくなっているから、彼に言われるがまま腰を浮かせてしまう。「良い子、」と撫でられるのは好きだ。そのまま彼の指は私の首筋をなぞり、背中軽くくすぐって、まだしっかり身につけたままの下着に辿り着く。慣れた手つきでプツリとブラジャーのホックを外して、脇腹を撫ぜて、下もゆっくり下ろされる。単純で素直な私の女の部分は彼に名前を呼ばれただけなのにじゅわじゅわと蜜を溢れさせ、彼に褒めてもらえた下着をぐちょぐちょに濡らしてしまっている。
「はは、下着、糸引いてる。まだ触ってないのに」
ちゃんのすけべ、と囁いてくるこの掠れ声にも弱い。普段はオレンジソーダみたいな明るい声を出す人だから、余計に。否定の声を上げたいが、弱々しく首を左右に振ることしかできない。またとろりと溢れて、シーツが濡れる。こういう時のケイトくんはずるい。本当にずるい。それでも、彼のことが好きで彼に触られるのも好きな私は、目の前のずるい人に身を委ねてしまう。
「ね、指入れて良い?」
そう聞いてくる彼の手を強く握ってしまう。多分彼の手の甲には既に私の爪痕がくっきり浮かび上がっていることだろう。次は絶対爪を短くしてこようと頭の隅で思いながら、私は無言で頷いた。