Jewelry Box宝石箱のひみつ
since.2020.05.27

電車の窓際

鏡→実家の国内のでかい駅→電車→実家の最寄→実家 的な方法で実家に帰ると言う想定で書いてる

 移動中の電車では駅の特徴的なロゴの店で買った飲み物とお弁当を広げて、写真を撮って、マジカメにアップしたらそのあとは意外とすることがなくて、窓の外を流れていく洒落た看板をただただぼんやりも眺めてしまう。鏡から直接実家の最寄駅に戻ることができたら良いのに、とケイトはため息をつく。まあ別に、早く帰りたいわけでは無いけれど。

 着くまで少し寝てしまおうか、と考えていると、持っていたスマホがブルブルと震えた。ちらりと画面を見ると彼女がマジカメに写真を投稿した通知だったようだ。一日に何度もスマホが震えると面倒だから、通知が届くようにしているのはダイレクトメッセージと彼女の投稿だけだ。画面をタップすると彼女のフォロワーがケイトを含め数人しか居ない鍵付きアカウントが表示される。今アップされていたのは、「お出かけです」と簡単な一言。そして添えられた写真に写る特徴的なロゴのカップ、電車の窓、窓の外はついさっきケイトが見たものと同じ洒落た看板、まさか……、

「同じ電車に乗ってる?」

 思わず立ち上がり、スマホと己の鞄を交互に見る。貴重品を入れているわけじゃ無いがあまり荷物の側を離れない方が良いかもしれない、でも早く彼女を探しに行かないと電車を降りてしまうかもしれない、でも、

「あ〜〜、もう!」

 ため息をつくと同時に、「あれ?」と聞き覚えのある声が聞こえた。思わず振り返る。通路を歩いていた少女と視線がかち合う。少し記憶より髪が長くなっているけれど間違いない、ケイトの飲み物と同じロゴのカップを持つ彼女は、

「ケイトくん、」

 名前を呼ばれた時、自分がどんな顔をしていたのかは鏡を見ていないから分からない、ただ、ちょっと格好悪くて情けない表情になってしまっていただろうことはなんとなく分かるから、思わず顔を覆って目を逸らしてしまった。