Jewelry Box宝石箱のひみつ
since.2020.05.27

キャンドルナイト

 夜は写真が綺麗に撮れない。ケイトは小さくため息をつく。夜の投稿のためにせっかく用意したキャンドルは少し溶けて、そのうちに見栄えが悪くなってしまいそうだ。頭をぐしゃぐしゃに掻きむしり、カメラを操作する。

 と、カメラ機能をずっと開いていたスマートフォンが不意に小さく震える。誰かからのメッセージ通知だ。バズった時の電池節約のためにマジカメの通知は基本オフにしているから、この時間にケイトのスマホを鳴らす人物はおそらく一人しかいない。反射的に指を滑らせてアプリを開く。

 画面に映し出されたのは予想どおりの彼女の名前と「ケイトくん」と一言。そのあと続けて「電話していいですか?」と言う問いかけと、可愛らしい絵文字。なんだかそれだけで苛々していた気持ちが吹き飛んで、思わず頬が緩んでしまう。

 キャンドルはまた今度にしよう。慣れた手つきで「テレビ電話でいい?」と打ち込んで送信する。あの子が電話に出たら、オレの顔越しにこのキャンドルを見せてやろう。あまりうまく映らないねと笑いながら。