小狐丸の生まれた時代から、唇に引く紅は特別な意味を持っていた。鮮やかな紅い色で塗ることにより、口から体内に穢れが侵入することを防ぐのだ。
血の色にも似た紅に、身体がうずくのは、刀剣の性か、己が獣である故か、それともまた別の理由からか、小狐丸自身にもわからない。

「次郎ちゃんに頂いたんです。」と、が抱えた袋の中から出てきたのは色とりどりの口紅と爪紅と、小狐丸にはよくわからない化粧道具らしきものたちだった。
化粧品に興味を持つ年頃である主がきらきらした表情でひとつひとつ手に取って眺める様子を、目を細めながら見守る。時折次郎太刀はこのように試しに取り寄せてみたが使わなかったり余らせたりしてしまった化粧品をに渡しているようだ。彼が生まれた時代では考えられないような色合いのものも多くもの珍しさについ手を伸ばしてしまうのだと豪快に笑いながら言っているのを小狐丸も聞いたことがある。加えて、口紅や筆には私が使ったものは無いから安心しな、という言葉も。次郎太刀が使った口紅を主が使うことにより、間接的にとはいえ唇を合わせてしまうことにならないかと気がかりに思っていたことはあの大太刀にはお見通しだったようだ。
どれか試してみようとが物色する数々の瓶や容器の中から一際鮮やかな色のものを一つ手に取り小狐丸が「ぬしさま、」と声をかけると、は「なんですか、小狐丸ちゃん」と機嫌がよさそうに返事をした。
「よろしければこの小狐に、紅を引かせてはくださいませんか。」
特に断る理由もないのだろうは「いいですよ、」と笑顔で了承する。
「では、」と手に取った濃紅を唇に近づけようとした、が、その手を彼女の小さい手が静止するように掴んだ。
「えっと、小狐丸ちゃん、」
「はい。」
「あの、筆は使わないんですか?」
「こちらの方が塗りやすいかと。」
「本当に?」
「もちろん。」
口紅を引くときは筆を使うものだと知らないわけではないけど、小狐丸が生まれた時代には薬指は『紅差し指』と呼ばれていたことも確かだ。
が、もちろん、といったものの、本当に指のほうが紅が引きやすいのか小狐丸にはわからない。おそらく筆を使った方が綺麗に濡れるだろうというのはなんとなくわかる。ただ単に主に触れたいという小狐丸の我が侭だ。
は「でも…やっぱり…」と少しごねてはいたが、全く引く気がない小狐丸に、ついに抵抗するのをあきらめ、渋々といった風そっと目を閉じた。
まるで口付けされるのを待っているようだと思いながら、紅をつけた薬指で、薄く小さい唇を撫でる。薄桃色が、己の指で徐々に濃い紅で染まり、誘われているようだと思う。
指を離し、しばらく出来を眺めた後、「できました。」とつぶやき、紅いその場所の代わりに額に己の唇を落とした。
思いもかけず額に触れたせいで驚いたのか、はぱちぱちと目を瞬かせたが、小狐丸が手鏡を差し出すと「ありがとう」とふわり笑う。その微笑みはいつも通りのはずなのに、赤く染まった唇のせいか妙に色気と艶めかしさを感じる。
そこからは、身体が勝手に動いていた。の後ろ頭に手を回し、こちらに引き寄せ、一際目を引く紅に唇を寄せた。時折塞いだ唇の隙間から漏れる「んっ…はっ」という吐息でさえ、いつもより艶やかなものに感じられる。
つう、と繋がった銀の糸がゆっくりと細い滴となり、落ちた。
口付けにより塗った紅が崩れているのがとても扇情的だ。
「折角綺麗にお化粧したのに…小狐丸ちゃんのばか…。」
「また、私が紅を引いて差し上げますよ。」
くすくすと笑いながら、彼女の唇からはみ出した紅をその指で拭う。
もう一度その唇に軽く口付け、そのまま彼女の着物の帯を緩めながら、首筋から肩へと唇を落とす場所を徐々に身体の中心部に近づけていく。白い肌を強く吸い、噛みつくと、紅く痕が残り、まるでそこも紅を塗ったようだと思った。

一糸まとわぬ姿になった主の微かに膨らんだかわいらしい胸に口づけると、彼女は「んっ」と身を捩る。右の膨らみの中心の花の蕾のような紅に軽く噛みつくとぴくんと体を震わせた。
「ぬしさまはこちらより左胸を触られる方がお好きのようで。」
「やだぁ…そんなこと…いわないで…」
「本当のことでしょう、」
右胸の飾りをちろちろと舐めるとそのやわやわとした刺激がもどかしいようで、物欲しそうな表情になる彼女はとてもかわいらしい。
「右だけだと気をやりたくてもできないくせに、」
「ひぅっ、あぁんっ」
「ほら、左だとすぐに達してしまう。」
続いてもう一方の紅を指でぐりと抓ると高い声が上がるから、思わず「ふふ、」と笑い声が漏れる。
乳首を甘噛みしながら下腹部に手を伸ばすと、そこは既にどろどろに溶けていた。入口を軽く擦ると「あっ、んぅ」と小さな喘ぎ声が漏れる。彼女の唇に紅を塗った薬指を膣穴にぬぷりと差し込むと、待っていたとでもいうようにきつく咥え込む。じゅぷじゅぷと薬指を抜き差しし、中に入れていない指で、入口の前にある紅く腫れたぎゅうと抓むと、「いっ、あぁあんっ」と声を上げびくびくと体を震わせた。己の指と舌で達してしまった彼女が愛おしくて、目尻に、頬に、唇に、口づける。そのたびにぴくりと反応する彼女はとてもかわいらしい。
前戯で息を荒くした主はとろりとした表情で小狐丸に身体を寄せる。そのまま貫いてしまっても良かったが、まだ微かに紅が残っている小さな唇に、己を求める言葉を紡いでほしくて、「ぬしさまは、どうしてほしいのですか?」と問う。
「どうしてほしいか、言わなければわかりませんよ。」
「い、いえないよぉ…、」
「ほう、でしたらよろしいのですか、このままで。こんなにいやらしい水が溢れているのに。」
中に居れた指は1本だけだが、それでも動かすたびにそこはぐちゅぐちゅと音を立てる。「洪水のようですね。」とつぶやくと、彼女は目をそらし、今度は耳まで紅く染めた。
そのままもう一度達してしまう直前で指を引き抜くと、物足りなさそうな顔でこちらを見てくる。もう一度唇を合わせて「さあ、」と促すと、彼女はごくりと唾をのむ。
「ふぁ、小狐丸ちゃん…、」
「はい、ぬしさま、」
「おねがい……、いれて…、」
「何を?」
「ぁう…こ、小狐丸ちゃん…の…大きいの…」
「……どこに?」
「んぅ…、わたしの…ここに…いれてほしいの、」
くぱぁ、と広げられた紅いそこは、蜜でてらてらとひかり、小狐丸を誘うようにひくひくといやらしく蠢いている。
よくできました、と額に口づけ、女の軽い体を一度持ち上げて、向かい合う形で膝の上に下ろす。ぬぷぷ、と水が空気を含むような音を立てて、いきり立ちが膣穴に侵入していく。彼女は射れただけでびくびくと体を震わせ達してしまったようだが、お構いなしに下からガツガツと突き上げる。目の前にある控えめなふくらみの飾りにがぶりと歯を立てると、「ひぁっ」と高い声が上がった。
熱い刀身を抜き差しするたびにぐちゅぬぷといやらしい音が部屋の中で響く。水音に合わせるように「あっ、あっ」と声を上げる主がとても愛おしい。
「うぁっ、…、そこ……っ」
「ここがよろしいのですか。」
「ふぁあっ!」
抜き差しをいったん止めて子宮の入口をごりごりと抉るように動かすと、もっと、とでもいうようにしがみついてくる。
「至る所を紅くされて、本当に可愛らしいですよ、ぬしさま。唇も、耳も、小狐丸を深く咥えていらっしゃるこちらのお口も。」
「ひぅっ、あぁん!おくっ…だめぇ…っ」
「はっ、ぬしさまの上のお口は嘘つきのようですね。下の方はこんなに蜜を溢れさせているというのにっ。」
「あぅ、っん…やらぁっ、きもちいいよぉお…おかしくなっちゃうぅ…」
がくがくと身体を震わせる彼女に締め付けられ、小狐丸も限界が近い。ぐちゅぐちゅという水音と、パンパンと激しく肌がぶつかり合う音と、二人の荒い呼吸音が混ざり合って、耳から脳みそが溶け出しそうだ。
ガツンと奥を抉るように突くと彼女は「あぁぁぁんっ!」と一際高い声を上げ弓なりに撓らせ達してしまったようだ。びくんびくんと震える蜜壺に締め付けられた小狐丸も、彼女をぎゅうと抱きしめその胎内にどくどくと白濁を流し込んだ。
主はそのまま気を失ってしまったようで、ぐったりと体重を小狐丸に預けている。
彼女の身体に吸い付き、噛みついた場所には紅い痕が残っている。崩れた紅に惹かれた妖がこれで払えれば良いのにと、己がつけた紅を撫でた。