雨の日は嫌いだ、と彼女は言う。悪いことが起こる日は大抵雨の日だ、と。強がりな彼女の代わりに空が泣いてくれているんだろうか。
思っていることはたくさんあるのに、色々考えすぎてしまって、うまく言葉にすることができないのだろう。だから、焦る、空回る、思ってもいないような憎まれ口を声に出してしまう、可愛くないやつ。
「素直になれば?」
そう言うと、「うるさい」とちょっと拗ねた顔をする。その時間が愛おしくてつい、このやり取りを繰り返してしまうけれど、素直なこの子なんてこの子じゃない、ともほんの少しだけ思ってるんだ。
「嘘だよ、そのままでいい」
小さな声で吐き出した本当の言葉は雨音にかき消されて消えた。
彼女の意外と繊細なところも真面目すぎるところも優しいところも、全部、俺だけが知っていればいい、だなんて、独占欲が強すぎるだろうか。