Naturesince.2010.07.04

Short Story

除夜の鐘

除夜の鐘が鳴る。こうしてこの子の隣で手を合わせるのは何度目だろう。家の近所の神社でたまたま会って家族ぐるみでお祝いしたあの日も含めたら多分片手じゃ足りない。そっと顔を上げて様子を見ると何やら真剣に目を閉じて願い事をしているから思わず少し笑ってしまう。「ねえ、何をお願いしたの?」毎年はぐらかされてしまうその問いかけを今年も繰り返す。それでも「秘密」と呟いて指を絡ませてくるその姿はとても新鮮で、少し照れてしまう。この子の耳も赤くなっているから、お互い様かな。照れ隠しのように「それじゃさ、俺が当ててもいい?」と首を傾げてみる。自惚れでなければ、きっとこれから口にする言葉が正解だ。