「なんで買っちゃったんだろう」俺は宅配で送られてきた段ボールを目の前にして頭を抱える。通販業者の経費削減のためか、そこまで大きくないものを頼んだはずなのに梱包用の箱はやたら大きくて、それがますます後悔というか罪悪感というかなんともいえないモヤモヤもした気持ちを助長する。
中に入っているのは一着のワンピースだ。勿論俺が着るものではない。ネットで通販サイトの広告を見るたびにアイツの顔が頭をよぎって仕方がなかった。思わず詳細をクリックして少し息を飲んだことも忘れられない。女の子の洋服とかよくわからないけれど、多分学生が気軽に買うようなものではない。でも、それでも、その明るい空から降ってきた虹の一部ような色が、あの子にものすごく似合う気がして、気づけば購入ボタンを押していた。そうして、段ボールが届いたあと我に返りこうして頭を悩ませている、というわけだ。何せ身に付けるものなんてアクセサリーくらいしかプレゼントしたことがないから突然こんな全身覆うようなもの、誕生日でもクリスマスでもないのに、なんと言って渡せば良いのかわからない。
「あー、」とか「どうしよ」とか小さくうめきながら一応封を開けて中身を確認する。箱から出てきたのは想像していた通りの鮮やかな色だ。
「やっぱりめちゃくちゃ似合うよ、」
思わず声に出ていたひとり言を、アイツが部屋の外で聞いていたことを俺はまだ知らない。