
12月24日の深夜0時には、リョーマくんに電話するという毎年恒例の行事がある。
「お誕生日おめでとう」と一言だけ言って、電話を切る。だって真夜中だし。あんまり夜遅くまで電話していたら、リョーマくんはまた寝坊してしまうからね。
それで、24日の朝、リョーマくんに直接プレゼントを手渡す、というところまでがこれまでの私のクリスマスイブだった。
だけど私が大学一年生リョーマくんが高校三年生になった今年は、リョーマくんが「23日の夜、さんちに泊まりたいんだけど。」とか言ってきた。曰く、「今年は24日、練習も学校も休みだし。」だそうだ。お泊りなんて、初めてではないけれど、リョーマくんの誕生日をふたり一緒に迎えるなんてことははじめてで、すごくどきどきしてしまう。思わず「うわあああ、」とか言ってたら、リョーマくんに「何変な声出してるの。気持ち悪い。」とか言われてしまった。うん、リョーマくんのそういう毒舌っぽいところも大好きです。

そんなわけで、今日はリョーマくんと1LDKの私の部屋で二人きりだ。夕方にテニス部の練習が終わったリョーマくんを学校まで迎えに行って、二人で買い物に行って、家に帰って晩御飯を作る。なんだか、すごくラブラブなカップルみたいで、ニヤニヤが止まらない。リョーマくんは冷めた目でこっちを見ていたから、きっとまた「気持ち悪い」って思っていたに違いない。しかたがないよ。リョーマくんのことになったら私は気持ち悪い人になっちゃうんだもん。
晩御飯を食べ終わり、お風呂にも入り、もうすぐ深夜0時。リョーマくんに「今年一年、お疲れ様でした。」と言ったら「それ大晦日に言う台詞じゃないの?」と少し笑われた。うん、まあそうかもしれないけどさ。リョーマくんが今年一年がんばってたから、お疲れ様って言いたくなったんだよ。
深夜0時。
いつもは電話越しだった「お誕生日おめでとう」を今年は直接言えた。朝になってから渡していた誕生日プレゼントも、すぐに渡せた。
でも、「ありがと」と言うリョーマくんはいつも通りで、なんだか安心する。
ふと、リョーマくんが「そうだ、」と声を上げた。
「今年はさ、俺からもさんにプレゼントあるんだ。」
「えっ、リョーマくんから?」
「うん、サンタにしては1日早いけど、いいよね。」
そう言ってリョーマくんは腕を伸ばして、きらきらしたものを私の首につけた。ちいさなハートがついた、かわいいアクセサリーだ。
「メリークリスマス、さん。」
にやっと笑うリョーマくんを見て、顔が赤くなっていくのが自分でもわかった。そんな私を見てリョーマくんは「気持ち悪い」ではなく、「今日はさんかわいいよ」とか言うんだから、たぶんきっと彼は私を殺す気だ。