「山本、誕生日だね」
「そーだな」
「なんかほしいモノある?」
「…お前」
「…言うと思ったよ!」
「期待してたのか?」
「してない!」

「真剣に、真剣に考えて。何がほしい?」
「…やっぱりお前しか思い付かない」
「もうやだこのひと」
「だって、新しいグローブとか言ってお前に買いにいかせたら大変なことになりそうだし」
「すみませんね!野球全然わからなくて!」

「なんかもっと、ほら、あるでしょ、財布とか、ベルトとか、」
「うーん」
「『eighty』も終わりが近づいてきてるんだから早く決めて!」
「切実だな」
「中の人がね」

「なんだよ、これ」
「山本が言ったんじゃん『お前がほしい』って」
「言ったけど…」
「だから、いろいろ投げ捨てて裸エプロンさらにリボン首輪なんてチャレンジしたのに、なんて顔してるんだよっ」
「それは…」
「もう、やだ、恥ずかし死ぬ…着替えてくるね。ごめんね、変なモノ見せて…」
「…まてよ」
「へ?」
「お前って、ほんとバカなのな」
「ば、バカとは失礼な」
「そんな格好して、オレに何されてもかまわないってことだよな」
「……うん、」
「…え、まじで」
「山本になら何されてもいい…」

「…山本、起きて、先生こっち見てるよ」
「…ハッ!(夢かよ!)」

「山本ー、さっきからこっちチラチラ見てため息つくのやめてよねー」
「はぁ…」
「ほらまた!ほんとどうしちゃったの?」
「いや、いろいろ自己嫌悪。」
「わけわかんないし」
「わかんないでいいよ」
「もう、誕生日なんだから辛気くさい顔しないの!」
「いてっ」
「次にため息ついたらグーで殴る」
「まじか」

「っていうか、オレまだお前に『おめでとう』って言ってもらってない」
「あれ、そうだっけ」
「そうだよ」
「でもなんか言われてから言うのって嫌だなぁ」
「それでもお前に言ってもらうことに意味があるんだって」
「そうなの?」
「うん」
「…誕生日おめでと、山本」
「おう、サンキュ」

「そういえば、プレゼント用意してない」
「いいよ、別に」
「考えてたんだけどね、なかなかいいのが思い付かなくてさ、」
「お前らしいなー」
「うっさい。で、考えたんだけど」
「ん?」
「山本は私がほしいでて言ってくれたわけだし」
「まさか…」
「今夜は私が山本くんのためにご飯をつくるというのはどうでしょう」
「そっちか!」
「どっちだよ!?」