
そもそもプール掃除というものはそれなりの人数でやるべきことなのではないだろうか、とは思う。なにが悲しくてたったの4人で広い24メートルプールをごしごしこすらなければならないのだろうか。理解に苦しむ。
「そりゃあおめーらが野球してて応接室の窓ガラスを割ったからだろーが。ヒバリはご立腹だぞ。ほら、罪滅ぼしにキリキリはたらけ。」
プールサイドにいるもみあげが特徴的な赤ん坊リボーンはパラソルなんか立てて優雅にジュースなんか飲みながらニヤリと笑った。考えていることを読まれた上に、この態度。どうせ雲雀の機嫌も取れるし修行にもなるからということでリボーンの方から掃除をしようとか言いだしたんだろう。腹正しいことこの上ない。イライラして必要以上にデッキブラシを振り上げると後ろの方から「おわっ」と驚いたような聞こえた。
「あ、ごめん綱吉くん。」
「おいコラあばずれ女。10代目になにしやがる。」
そこに居た綱吉に軽く頭を下げて謝ったら、腕輪や指輪をじゃらじゃらつけた手にチョップされた。金属がごつごつ硬いから地味に痛い。
「さいてーだよ獄寺氏。女の子を殴るなんて、男の風上にも置けないね。」
「んだと。てめぇだって俺らに交じって野球やっている時点で女らしさのかけらもねぇだろうが。」
バチッと火花が散った気がした。ぎりぎりとにらみ合う二人を見て、綱吉は慌て、少し遠くで見ていた山本は楽しそうに笑う。これが4人のいつもの光景だ。
そして、その矛先が方向を変えるのもいつものことである。
「もとはといえば山本がホームランかっとばすのがいけないんでしょーが。」
「それもそーだ。おい野球バカ、このあと10代目とオレにジュースな。」
「はっ?えっ?まじで?」
「ちょっとまて獄寺氏。私、私を忘れるな。」
「ってことはジュース3本?いや俺と小僧の分もだから5本?オレ今日400円しかない気がする。」
「あばずれ女とお前には必要ねーだろ。10代目とリボーンさんとオレの分だ」
「いや、ホームラン打ったことは気にしなくていいからね山本!オレ達連帯責任だから奢ったりしなくても大丈夫だよ!も獄寺くんも、ケンカしないで、終わったらみんなでアイスでもジュースでも買いに行こうよ!」
必死でフォローする綱吉を見て獄寺が「10代目がそういうなら…」と矛を収めたため、も「じゃあ私も綱吉くんがそういうなら。」と一歩身を引く。が、我ながら大人の対応だと腕を組み一人頷いているとずっと大人しく4人の戯れを見ていたリボーンに「全然大人じゃねーよ」と言われた。また心を読まれた。
「んじゃ、冷たいもののためにはやく掃除終わらせようぜ。」
そう言って山本はホースで水をぶちまけた。しぶきが足や腕にはじけ飛んできて涼しくて気持ちいい。
そうだ、ここがぴかぴかになったら、4人並んでプールサイドに座って透明な水に足をつけてカルピスを飲もう。そう決意してはもういちどデッキブラシを振り上げた。