主人と使役獣//霧隠シュラ

「なんっなんだよあのハゲ!アタシはお前の下僕じゃないっつの!」
「ねぇねぇシュラ、そんなにあのなんとかエンジェルが嫌いなら殴っちゃえばいいじゃない」
「それができたら苦労しねぇっつの。っていうか、、あいつの名前を呼ぶな。耳が腐る。」
「腐らないよー。っていうか、シュラ、最近あのサタンの子にかかりきりだからつまんない―。エンジェルくらいの強い奴と戦いたいよう。」
「一人でやってろ」
「シュラが居ないとできないから言ってるんじゃん!ばか!」
「それはこっちのセリフだバカ!」

(110906)

 優等生と不良//獄寺隼人

屋上でタバコを吹かしていると、ぺたぺたとスリッパの音をたててアイツが近づいてきた。規定通りの少し長いスカートを風にふわりと揺らし「いい加減にタバコ止めたらどうなんですか」と俺の手にあるソレを睨み付けてくる。「うるせえ」と返すとアイツは深い深いため息をついた。

「肺癌になりますよ」
「オレの隣で副流煙吸ってるお前も癌になると思うぜ」
「私は大丈夫ですよ。日頃の行いが良いですから」

授業をサボって今ここに居るヤツが『日頃の行いが良い』とか、何言ってんだ。そういう俺の目線に気がついたのか、アイツは「今の私はサボっているんじゃありませんよ。自主休講です。」とどや顔をしてきた。

「それをサボりって言うんだよ。お前優等生じゃなかったのかよ」
「なんだか獄寺くんのことを見ていると普段の自分の行いが馬鹿らしく思えてきまして…」
「オレのせいにするな」

(110723)

 小説家と担当者//日吉若

「日吉くん、私は大変なことに気が付きました。」
「何ですか先生」
「聞いてくれますか?」
「…一応聞いてあげますよ」
「文章が頭に浮かんできません!だから締め切りに間に合いそうにありません!」
「わあ、それは大変ですね。今回の入稿は遅れてもいいですよ……なんて言うと思いましたか?」
「言ってくれないんですか?」
「言うわけないでしょう」

(110831)

 新婚夫婦//山本武

「山本?どうしたの?」
「かわいい奥さん抱きしめて充電中」
「…あっそ」
「…っていうかさ」
「ん?」
「山本じゃなくて、」
「あ、武くん。」
「そうそう。早く慣れろよなー」
「ごめんごめん、うっかり出ちゃうんだよねー。」
「学生の時は『まぁそれでいっか』で済んでたけどさ、これからはそうはいかねぇんだからな」
「わ、わかってるって」

(110914)

 遊女と客//オランダ

「お兄さん、ちょっと寄って行ってくださいな。お安くしておきますよ。」
「金払ってまで女を抱こうとは思わん」
「あら、冷たい人。」
「タダでもええならお前を抱いてやっても構わんが」
「お兄さんがまた来てくださると約束してくださるなら良いですよ。」
「……それは約束できん」

(110815)

 借金取りと客//折原臨也

いつの間にか蒸発した父親の借金を肩代わりさせられていて、いつの間にかこの『奈倉』とかいう黒付くめの借金取りが私の家に居座っていた。どうなった私の人生計画。とりあえず、蒸発してしまった父親に会ったら顔の形が変わるまで殴ってやろうと心に決めた。

(110722)

 親と子//真田弦一郎

うちのお父さんはすっごく厳しい人だ。すっごく気難しいし、あまり笑わないし、なんだか古風だし、そもそもお父さんぐらいの年の人は「たるんどる」とか「たまらん」とか言わないはずだ。ぶっちゃけ、爺くさい。お母さんは「それがお父さんのいいところじゃない」と笑うけど、私としてはもっといまどきのかっこいいお父さんでいてほしいのだ。……と、そういうことを厳しいお父さんには言えるわけがないし、爺くさいとか言ったらそれこそかわいそうなので、新聞を読みながら何故か唸っているお父さんの眉間のしわの数を数えてちょっと笑うだけにとどめておくことにする。

(110906)

 タレントとプロデューサー//一氏ユウジ

「おい、そこの!」
「私ですか?」
「せや、お前や!お前の番組、小春だけ呼んで、俺を呼ばへんとかどういうことやねん!俺らコンビやぞ!」
「いや、だって一氏さんより金色さんの方が面白いですし。」
「あぁ゛!?」
「っていうか、プロデューサー的にめんどくさいですよねー、相方が居ないと仕事したくないっていうお笑いタレント使うのは。」
「めんどくさいってお前…」
「悔しかったら金色さんが居なくても一分間に三回会場沸かせるくらいのトーク術身につけてくださいね。それじゃ。」

(110831)

 生徒会長と書記//手塚国光

「手塚くんはなんでも一人で抱え込みすぎだと思うの」
「何故そう思う」
「貴方を見ていれば分かるわ。少し、無理をしていない?」
「そうか?」
「そうよ。全く私達を頼ろうとしないし。」「そんなことはない」

そう言って、手塚くんは私に分厚い書類の束を手渡す。私が落とさないようにしっかりとその書類を抱えたことを確認してから、「心配するな」と私の頭をかるくポンと叩いた。

(110726)

 上官と部下(軍隊)//プロイセン

「信じられない!なんで敵を挑発しちゃうんですか!馬鹿か貴方は!」
「おい、それが上官に対する口の利き方か?」
「うるさい!自分が上官だという自覚があるのならもうちょっと部下の気持ちを考えて行動してください!」
「…めんどくせぇ」
「…もう!あなたって人は!この戦いが終わったら一発殴ってやりますから!覚悟しといてくださいよね!」
「お、宣戦布告か?いいぜ、上等だ。俺様を殴れるものなら殴ってみるがいいさ」

(110721)

 ボディーガードと被保護者

「……どうしてオレがこんな女のボディーガードなんか…」
「聞こえていますよスクアーロ」
「げ、」
「まぁ、別にそう思っていてもかまいませんけど。貴方が守るよりも攻める方が得意なのはよく知っています」
「知ってるなら何故オレを使命した?他にもお前のボディーガードになるような奴ならごまんといるだろぉ」
「そうですね、私がスクアーロと一緒に居たかったから、それではいけませんか?」
「はぁ?」

(110831)

 姫と騎士//千石清純

「いやぁ、俺はすごくラッキーだなぁ」
「どこがラッキーなんですか!?今まさにドラゴンに食べられそうになってるんですよ私たち!」
「だってほら、こんなにかわいいお姫様を助ける騎士が俺なんだよ?それってすごくラッキーなことだろ?」
「あぁ、もう!ラッキーでもラッキーじゃなくてもいいから!はやく逃げましょう!このままだと丸焼きにされちゃう!!」

(110906)

 カメラマンとモデル//不二周助

ぎこちないピースサインをする私を見て、黒いデジタルカメラを構えた不二先輩は苦笑いした。

「ポーズとかつけなくても、自然にしていればいいのに。」
「カメラ向けられたらピースしてしまうんですよ。条件反射です。」

そう答えると、不二先輩は「困ったな」と呟く。彼のそんな顔が好きだから、つい私は彼が困るようなことをしてしまう。これも、条件反射だ。

「私は別に困りませんよ。きちんとカメラを意識した顔で写真を撮ってもらいたいですし。」
「そういうもんかな?」
「そういうもんです。」

真面目な顔で頷くと、彼はまた苦笑いして、「僕の専用のモデルさんはわがままだね、」と手に持ったカメラを軽く撫でた。

「この写真のはすごく良い表情をしてると思うんだけどな、」
「え、ちょ、それ、まだ残してたんですか!?消してください!今すぐに!そして不二先輩の記憶からも抹消して!」

(110728)

 人工頭脳と開発者//笛吹和義

「あれ、スイッチ、何持ってんだよ」
「リカちゃん人形?懐かしいなぁ。まさかスイッチのなん?」
『リカちゃん人形…?それは違う。これは…ラブプラスプラス+1号だ!』
「はぁ?」
「また出たで、スイッチのよく分からん発明品。」
『よく分からんとは失敬な。これは世の男性諸君を救う画期的な発明ですぞ。』
「何キャラやねんお前!」
「世の男性諸君を救うってどういうことだよ」
『ラブプラスプラス+1号は人工頭脳を搭載したリカちゃん人形でーす!』
「テンション高いなスイッチ!」
「あ、結局リカちゃん人形なんや」
『右手人差し指の第2間接のボタンを押せばお喋りしまーす!また、左足の膝の裏にあるボタンを押しながら肩甲骨辺りにあるマイクに向かって話しかけることにより、学習し、お喋りできる言葉も増えていきまーす!』
『こんにちは、です!』
「おぉ、喋った!」
「っていうか、ボタンとマイクの位置おかしないか!?」
『と、まぁここまでは女児向けの玩具によくあるようなただの人形だが、俺のラブプラスプラス+1号はここからが違う。』
「ほう、」
「じゃあ見せてみろよ!俺らに『流石スイッチ!』って言わせてみろよ!」
『いいだろう。俺のラブプラスプラス1号は…』
「ラブプラスプラス1号は?」
『話し掛ける度に持ち主に対する好感度が上がっていくいわば立体版ギャルゲーだ。』
「おぉ、ふ、」
「ギャルゲーかい!もっとすごいモンくるんかと思ったら結局いつもとあんま変わらんやないか!」
『もちろん、話し掛ける内容によって、好感度が下がることもある。』
「あるんかい!」
『当然だろう。そして、最終的に好感度がマックスになったら甘いセリフも囁いてくれるようになる。』
『貴方のこと、愛してるよ』
「うっわー、これは…若干引くわ…」
「なんだこれきもちわりぃ!…でも『愛してるよ』って言われてみたいって思っしまっている自分が居る!悔しい!」
「え、ボッスンほんまに!?やめてぇな!!」
『そして、設定すれば名前も呼んでくれる。』
『スイッチくん、愛してるよ』
「お前の名前で設定してんのかい!」
『キャッチコピーは「これで貴方もリア充気分☆は貴方を愛してる(はぁと)」だ。』
「なんやねんそのキャッチコピー!」
『スイッチくん、愛してるよ』
「あぁああ!なんか超腹立つ!でもなんかうらやましい!なんだこれ!」
『ちなみに、というのはゲームラブプラスプラス+に登場するヒロインの一人の名前で…』
「もうええわ!」

(110830)

 美容師と客//平古場凛

「平古場くんはよくこの店に来てくれるよねぇ、」

そう言って、さんは綺麗に笑った。窓から入ってくる光で彼女の金髪がきらきら光る。
彼女の真似をしてこの色に染めた、彼女と同じこの色を綺麗に保ちたいから、彼女がいるこの美容院に通うんだ、なんて口には出せずに、ただ髪の毛を梳くその手の暖かさを感じ目を閉じた。