Vivaceかがり縫いのヴィヴァーチェ
since.2020.03.30

内緒話の昼休み

「最悪! 本当に最悪! 家に帰りたい!」
昼休みの空き教室、泣きそうな声を上げて机に突っ伏すを見て、ラスティカは「それは困ったな」と眉を下げて笑う。

「何も聞いていないのに『困った』って言わないで!」
「それもそうだね、今日はどうしたんだい、

幼馴染みの髪の毛をあやすように撫でて、ラスティカは優しげに声をかける。以前クロエに「ラスティカはを甘やかしすぎじゃない?」と言われたことがあるが、そんなつもりはないのだ。ただ、昔から親しくしている彼女に頼られたら精一杯応えてしまうだけ。……これが甘やかしているということなのだろうか。
そんなラスティカの考えを遮るように、は机に突っ伏したままもごもごと喋り始める。

「ラスティカは転校生さまともうお話しした?」
「勿論、学校が賑やかになりそうで嬉しいね」
「うん、そう、それはとっても嬉しいの、わたし、転校生さまこと、大好きよ」
「そうだね、」
「でもクロエのことも好きなの」
「知っているよ」
「……じゃあなんで、二人を見ているとちょっと嫌な気分になっちゃうのかしら、」

最悪なのは他の誰でもないわたしなの、と小声で呟いて、はため息をつく。そんな彼女を慰めることも励ますことも今は正解ではないと思ったから、ラスティカは「少し寝ても良いですよ」とだけ囁いた。ここの先生たちはおおらかな人ばかりだから、心が少しチクチクする午後は、少しくらい授業に遅れても許してくれるはずだ。

最悪なのは他の誰でもないわたしなの、と小声で呟いて、はため息をつく。そんな彼女を慰めることも励ますことも今は正解ではないと思ったから、ラスティカは「少し寝ても良いですよ」とだけ囁いた。ここの先生たちはおおらかな人ばかりだから、心が少しチクチクする午後は、少しくらい授業に遅れても許してくれるはずだ。