暖かな午後だ。今にも上下がくっついてしまいそうな目蓋を擦りながら中庭に外の空気を吸いに出てくると、花壇の側から歌うように楽しげな声が聞こえてきた。
「お洋服のリボン結びがとっても綺麗! 素晴らしいわラスティカ!」
「どうもありがとう、。これはクロエがやってくれたんだよ、」
「あら! そうだったのね! あとね、それとね、えーっと、えっーと、」
「ラスティカ、、こんにちは」
声をかけるとミシンの精霊・と西の魔法使い・ラスティカは顔を上げてにっこりと笑う。
「あら、賢者さま!」
「こんにちは、賢者様」
「あっ、きちんと挨拶をするところもとっても素敵よラスティカ!」
くるくると飛び回る精霊に、西の花婿は「ありがとう」と目を細める。クロエが居ないところで彼らが二人だけで居るのは少し珍しい。それに……、
「今日のはすごくラスティカを褒めますね」
何故、と聞く前には目を輝かせ、晶の差し出した掌にふわりと降り立った。
「そう、そうなの!クロエがね、わたしのことすっごく褒めてくれるから、わたしも誰かを褒めたくなって、」
「だから僕を練習台にしているんだって」
「ちがう! ちがうのよラスティカ! ラスティカの誉めたいところたくさんたくさんあるの、だから、」
練習台として褒めているわけではないのよ、とは眉を下げる。そんな彼女を見て、ラスティカは優しく微笑んで穏やかに頷く。
「勿論、分かっているよ、ありがとう」
「ふふふ、あっ、こうやって素直に口に出して褒めたいってる思える雰囲気を纏っているのもラスティカの素敵なところだわ」
の言葉に再び「ありがとう、」と笑うラスティカを見ているうちに、ふと以前クロエが言っていた言葉を思い出し晶は「そういえば、」と声を上げた。
「クロエはと話す時、ラスティカの真似をしているんですって」
「僕の?」
ラスティカに褒められると嬉しいから同じようにのことも褒めてあげようって思って、そう言っていた西の仕立て屋も、目の前の穏やかな花婿も、ミシンの精霊も、優しくて、暖かくて、
「なんだか、幸せが連鎖しているみたいで素敵」
「『幸せの連鎖』……、なんとも心が暖かくなる、素敵な言葉ですね賢者様」
「本当だわ! そんな言葉がすぐに口から出てくる賢者さまもとっても素敵ね!」