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拍手お礼(刀剣乱舞//小狐丸)

小狐丸の機嫌がどうもよくない。先程街を歩いている最中に審神者が露店で購入した傘が気に入らないらしい。

審神者が傘や雨合羽を扱う少し怪しげな露店を見つけたのは万事屋からの帰り道、空から滴がぽつりぽつりと降り始めたときだった。店主の「今日はこれから雨が強くなるよ、お嬢さん」との言葉に頷き可愛らしい白い花模様の瑠璃色を選んだのはつい先刻のこと。

「ぬしさまは一つ足のからかさをご存知ですか、」
「からかさ?」
「風と共に人を連れ去る傘の妖です。」

あのような場所で売られている傘が、普通の傘であるわけがない、と狐は言う。考えすぎですよ、と笑うと、彼は更にむっとしたような顔をしてしまった。

「大丈夫ですよ、」

そう言って審神者が小狐丸の手を握ると、機嫌を悪くしつつも「濡れては体に障ります」と自ら傘を手に取り開き、彼女の側に傾け歩く。が、二人が歩き始めると途端にはたはたと振っていた雨が止み、雲は立ち退き、空が晴れた。

「折角使おうと思っていたのに残念ですね、」

審神者が苦笑いし、小狐丸は「ええ、」と頷き、瑠璃色を下ろす。傘は目を閉じる。

しばらく晴れた道を歩き本丸の傍までたどり着いたとき、不意に小狐丸が「おや、」と口を開いた。

「おや、雨がまた、」

小狐丸の言葉と共に審神者の鼻先へぽつりと滴が落ちる。地面を濡らし始めた水の粒はぽたぽたと繰り返し振ってきて止まらない。空の雲は既に消えてなくなっているはずなのに、とても不思議だ。

「狐の嫁入り、ですね。」

審神者が呟くと小狐丸が嬉しそうに笑い、ふわりと黄色い羽織を脱いで審神者のあたまの上からかけた。まるでそのちいさな身体を隠すように。

「ぬしさま、これを雨よけにしてくだされ。」

黄金色の羽織と、薄布のように視界を覆う雨の向こう側に、淡い色の光の線が見える。

「小狐丸ちゃん、虹ですよ、」

審神者が彼を見上げ、笑うと、小狐丸も嬉しそうに目を細める。
しっとりと湿った黄色に触れ、ふと、先程露店で購入した雨傘のことを思い出す。小狐丸の手に、先程の瑠璃色は無い。

「…そういえば小狐丸ちゃん、あの傘はどうしたんですか?」
「ああ、先程の……」

審神者が問うと、小狐丸はすう、と目を細め、七色の先を示した。

「虹の根元に隠しました」と狐は笑う。

(虹)