「小狐丸ちゃんのお耳はどこにあるんですか?」
幼い主が小狐丸の顔を下から覗き込みながら首をかしげる。
「おや、ぬしさま、目に入りませぬか。狐の耳は、ほら、此方に。」
そう言ってぴょんと跳ねる白い毛を示すと、彼女は「本当に?」と半信半疑な表情でこちらを見てくるから思わずくすくすと笑い声が漏れてしまう。
「ぬしさまが信じてくださるならば此方が小狐の耳でございますし、そうでないのならば別のところにあるのでしょう。」
そう、なぞかけのようにそう言って屈んで彼女の髪を梳くように撫でてみせる。と、不意に彼女の腕が此方へ伸びできて細い指が小狐丸の頬に触れた。小狐丸が驚きで動けなくなっているうちに、そのまま彼女の指は小狐丸の肌の上をすべるように移動し、髪をかき上げた。「あ、」と呟き手を止めた。
「うふふ、やっぱりここにあるんですね、お耳。」
耳朶を細い指がかすめ、小狐の肩はびくりとはねた。その反応を見た主はすぐに彼の耳から手を離す。
「あっ、ごめんなさい小狐丸ちゃん。痛かったですか?」
「……いえ、少し驚いただけですよ。」
そうして狐はいつものように笑う。燃えるように熱くなった己の耳の先には気づかないふりをして。
*
「ねえ小狐丸ちゃん、あの時は本当にびっくりしただけ、だったのですか?」
「どういうことですか、」
「だって、ほら、小狐丸ちゃん、とっても気持ちよさそうです。」
そう言って以前よりも随分と大きくなり大人に近づいた彼女は、小狐丸の髪の毛を掻きあげてその耳朶に触れながら目を細める。あのころは小さな主を狐の術で化かしてしまおうと思っていたが、いまではこちらが彼女の手の上で踊らされているようだ。
くすくすと笑いながら、彼女は小狐丸の頬にかかる髪の毛をその耳に丁寧にかけた。それだけで、小狐丸の意思とは無関係に耳に熱が集まっていくのを感じる。露わになった耳に主は唇を寄せ、ふぅ、と息を吹きかける。小狐は、唇をかみしめて喉から出てきそうになる声をこらえる。油断すると涙まで出てきてしまいそうだ。
「うふふ、小狐丸ちゃん可愛い、」
「ぬしさま、お待ちくだされ。」
「安心してください、いつも小狐丸ちゃんにしてもらっている、お返しです。」
楽しそうな主の表情は愛らしいが、普段の己の行為を思い返し頬に冷や汗が伝うのを感じる。お返し、ということは普段小狐丸が彼女にしているような行為をここでされてしまうということだろうか。主を押しのけてこの場から逃げてしまっても良いのだが、見た目は細く力のない少女であるとはいえ、小狐丸の主だということに変わりはない。刀剣は主に簡単に抵抗することはできない。
それを分かっているのか、主は小狐丸の耳朶に唇を落として、ちゅう、と吸う。反対の耳朶も、ぐにぐにと彼女の指で弄ばれている。「ぁ、ふ、」と自分の声ではないような音が漏れて、耳だけでなく頬にも熱が集まるのを感じる。気づけば、少し腰が揺れていた。「ぬしさま…」と懇願するように彼女の顔を見ると、「もう少し待ってくださいね、」と耳の軟骨をぺろりと舐められる。
「ぬ、ぬしさま…小狐はもう、」
限界が近くなり、熱い息を吐きながら、彼女の手を握る。この小悪魔のように悪戯好きで可愛らしい彼女の蜜孔に、太く硬くなった自身を早く突き立ててしまいたい。獣のように、ふー、ふー、と荒い息を吐き出す小狐丸を見て、主はくすりと笑って最後にもう一度に息を吹きかけてから、二つの耳朶を開放した。そのまま、袴も脱がずに欲望を吐き出してしまいそうになるが、寸のところでなんとか堪える。
「うん、ちゃんと我慢できましたね。」
主は「良い子、」と小狐丸の袴の上から既に熱く張りつめた滾りを優しく撫でる。直接触れているわけではないのに、あまりの気持ちのよさに頭が沸騰してしまいそうだ。細い指で帯をしゅるりと解かれ、狐はごくりと唾をのんだ。