普段名前は、自分に触れてくる小狐丸を拒んだりはしない。彼が酷いことをしないということは今までの経験でわかっているし、拒んだところでやめてくれるわけではないということはわかっているからだ。
でも、その日は少しだけ、ほんの少しだけだ。彼に意地悪をしようと思った。…いつもと違う反応を示したら、彼はどうするのだろう?いたずらっ子のような気持ちがむくむくと湧き上がって、はやくためしてみたい、と新しい玩具を手に入れた子供のような気持ちで庭の花の枝をぱちんと剪定する。
そう思っていたところに、さっそく小狐丸が「ぬしさま」と後ろからふわりと名前の小さい体を抱きしめに来た。急に体の自由を奪われ、少し驚く。どうやら、今日の内番の仕事が終わったらしい。いつもならここで驚いていても、後ろを振り向き、目を合わせて、彼の名前を呼ぶのだが、今日はぷい、とそっぽを向いてみる。
「ぬしさま?」
不安げにこちらを覗き込んでくる狐に既に絆されているため、簡単に目を合わせてしまいそうになるが、ぐっと堪える。
「すごく、びっくりしました。鋏も持っているし、危ないです。……そんなことする小狐丸ちゃんなんか…き、きらいです。」
「きらい」
「嫌いです。」
本当はそこまで驚いてはいないのだが、少しくらい大げさに言った方が良いだろう。一度は少し言葉にするのを躊躇ったが、二度目ははっきりと言葉を紡ぐ。
「ほう、」と、すぅ、と彼の紅い目が細くなった。小狐丸に意地悪をしてみようと始めた戯れなのに、そのように見られると、まるでこちらが意地悪をされているような気分になってくる。
「ぬしさま、戯れでもそのようなことをおっしゃってはいけません。」
「そんな…」
バレている。予感はしていたが、名前の悪戯心はこの付喪神にはお見通しだったようだ。
「ぬしさまは、嘘つきですね。」
「う、嘘じゃ…」
嘘じゃない、とは言えなかった。そう言おうとした唇を彼のそれで塞がれたからだ。
熱い舌で口内をまさぐられる。自分の喉から「んっ、ふぅ、」と甘い音が漏れるのが妙に恥ずかしい。舌を絡め取られ、吸われ、頭がくらくらしてきたところで、唇を離された。唾液が銀の糸を引き、ぽたりと地面に落ちる。はぁ、と熱い息が漏れる。酸素が不足し、きちんと脳が働かない。
ふわふわとした思考のまま、無理やりぐるりと身体を回転させられ、臀部を突き出すように体制を変えさせられる。
視界の隅で、狐の唇がにやりとゆがんで牙がちらりと見えた。
「狐を化かそうとしたこと、後悔させてやりましょう。」
*
名前がいつも花の世話をしている中庭は、あまり名前以外の人物が訪れることがない。…もちろん、主が部屋に居ない時は大抵ここにいることがわかっている小狐丸は、頻繁に姿を見せるのだが。とはいえ、小狐丸以外の刀剣も名前に用があるときはこの場所を最初に見に来るという点では同じだ。その上、人気がないとはいえ外ということに変わりはない。いつだれがここに来るか、名前にも見当がつかないのだ。
そんな場所で、彼女は胸元を肌蹴けさせ、あられもない姿で小狐丸に貫かれていた。しっかりと結ばれていた帯紐も剪定用のはさみでぶつんと切られてしまった。鮮やかな色をした布がはらりと虚しく地面に落ちていく。
「あっ、やっ…やだ…こんなところで…あぁん…」
「何を言っても同じことですよ、最後まで、狐と踊っていただきますっ」
ガツンと立ったまま後ろから奥をつかれ、悲鳴のような声が上がる。ほとんど慣らされていないせいか、いつも以上に圧迫感を感じる。苦しい。死んでしまいそうだ。だが、どんなに苦しくても体の奥から蜜はとろとろと溢れてくる。太腿を伝った液体がぽたりぽたりと落ちて、やわらかい土は花に水をやった時のように抉れた。
掴むものが何もないから、快感を逃がすことができない。目の前に花は咲いているが、これを掴んでしまったら、せっかく育てたものが台無しになってしまう。伸ばした手は空を掻いて落ちた。
「苦しいですか?ぬしさま。もう降参しても良いのですよ。」
「こ…小狐丸ちゃんの…ばかぁ…ひぃンっ…」
「はっ…、もしかすると、ぬしさまの可愛らしい声が、誰かに聞かれているかもしれませんね。…それもまた一興。」
「くっ…はぁ、だめぇ…、そんな…の…、」
「まあ、聞かせる気は露ほどもないが。」
最奥の良いところを突かれ、「あぁっ!」と一際高い声が上がった。びくびくと中の楔を締め付けてしまっているのが自分でもわかる。と、同時に、どくん、と中に熱いものが吐き出されるのを感じた。
名前が達した余韻で息を荒くする中、結合部の溢れ出した白濁液が土に滲んでいくのを、彼の胸に背を預けながらぼんやりと見ていた。
ずるり、とぎりぎりまで引き抜かれ、そのまま抜けてしまうのかと思った。が、急にまたズン、と奥を突かれる。思わず甘い声を上げてしまう。一度性を吐き出したはずの小狐丸の高ぶりは再び熱く硬くなり、名前の中をぐりぐりと抉るように擦る。
処理をしないまま抜き差しを繰り返しているため、ぬちゅ、ずぶ、という卑猥な水音はいつもより激しい。どちらのものかわからない液体はぐちゅぐちゅと泡立ち土の上にぽたぽたと落ちる。
「ひぅっ、あっ…うっ…もう…むりぃ…」
「言ったでしょう、最後まで踊っていただくと。…離しませんよ。」
そう言って狐はくつくつと笑い、もう一度ぎりぎりまで刀身を引き抜き、深く突き刺した。何度も何度も繰り返す。その度に名前は言葉にならない喘ぎ声をあげ、蜜を滴らせ、狐は笑う。彼女の声が枯れ、意識がなくなるまで、行為は続く。
小狐丸相手に二度と意地悪ないたずらはしないと彼女は心に誓った。