その熱い滾りは、今朝、庭に咲いた赤い花を思い出す。実際獰猛なそれは朝露に濡れた優美な八重咲きの花とは似ても似つかなかったのだが、ぽつりと浮かぶ白く濁った液も、少しだけ咲いた白い色の花のように思え、愛しさが増した。
「してください」と頼まれ小狐丸の熱くなったそこを慰めたことは幾度もあったが、名前が自らそこに触れたことは片手で数えられるほどである。名前の申し出に小狐丸は驚いたような顔はしたものの、ぬしさまがしたいのであれば、と了承してくれた。
取り出して触れた男性のものの熱さに、そこに触れるたびに彼から吐き出される吐息の温度に、撫でるように頭に乗せられた手のひらのぬくもりに、何とも言えない感情が湧き上がる。興奮、しているのだろうか。
「はぁっ…誰に何を吹き込まれたのですか、ぬしさま。」
「吹き込まれた、とか、そういうことではないんですよ、小狐丸ちゃん。」
以前彼に教えられた通りに、鈴を口にくわえチロチロと舐めながら、空いた手で竿に触れる。小狐丸は苦しそうに眉をしかめ、「くっ…」と小さく声を漏らした。普段見ることができないそんな小狐丸の様子可愛らしくて、つい何度もそこに触れてしまう。敏感な気持ちの良いところをしつこく苛めてくる意地が悪い小狐丸の気持ちが少しわかったような気がする。
「深い理由はなくて、ただ触れたいと思った…それでは駄目ですか?」
「…駄目、というわけではないのですが…っ」
目の前にいる付喪神が、とてもかわいいと思う。食べてしまいたい、そのような感情を彼にも他のものにも抱いたことがなく、戸惑いも覚えるが、今はそのようなことを深く考えるよりも目の前の行為に集中していたい。
限界が近いのだろうか、どくどくと脈打っているそれに口づけてからぢゅっと音を立てて吸い上げると、小狐丸はうめき声をあげ、それまで名前の頭にそっと乗せているだけだった手にぐっと力がこもった。
「っ…はっ…ぬしさま、もう…、」
静止を無視し、先を咥えながら数回扱くと、それはどろりとした熱い欲望を名前の口内に吐き出した。
吐き出せ、といわれる前にこくりと飲み込むと、小狐丸は小さくため息をついて名前の髪の毛を梳くように撫でる。
「満足しましたか?」
「はい、あの、ごめんなさい。」
「…なぜ謝るのですか。」
「それは、えっと、私にこうされるのは嬉しくないのかなと、思ったから…。」
俯きながら小声で言うと、小狐丸は名前の顎をぐいつかんで半ば強引に口づけた。「やはり苦いですね、」と呟いたが角度を変え、もう一度深く唇を重ねる。
「ぬしさまに触れられてうれしくないなどと、小狐丸は一度も思ったことはありませんよ。……ただ、次こそはは私を満足させてくださいますかな?」
そう言って小狐丸は体の向きをかえ、そっと名前のからだを倒す。腿に触れた男根は既に熱と硬さを取り戻しており、その回復の速さに驚く。名前が良いとも駄目とも言わないうちに、彼の物に触れるときは身につけたままになっていた着物をするりと脱がされ、性急に足を大きく開かれ、普段は隠れている秘めやかな部分が露わになる。小狐丸はそこに顔を近づけスンと匂いを嗅ぎにんまりと笑う。「やだ」とか「やめて」といってもこの狐が聞いてくれないのはわかってはいるが、恥ずかしいことに変わりはない。
「私のものに触れただけでこのようにしてしまわれたのですか。」
いつもの調子を取り戻し、楽しそうに笑う狐を否定することはできない。彼の滾りに触れ欲望を飲み込んだことで、興奮し、自らの下半身もドロドロに溶けてしまっていることは確かだ。
しばらくしげしげと名前の蜜口を眺めていた小狐丸だが、不意にそこをべろりと舐める。予期せぬ刺激にびくりと体が震えた。
「あっ…そんな…急に…っ」
「あぁ、ぬしさまのここは、赤くて艶めかしくて、まるで今朝庭に咲いた花のようですな。」
「えっ…?なっ…、」
「どうかされましたかな?」
まさに先ほど同じようなことを考えていたとはいえず、首を横に振って誤魔化すと狐はそれが気に食わなかったらしく、花芽に軽く歯を立てられた。
高い悲鳴のような喘ぎ声をあげながら、名前は思う。きっと今から食べられるのは、彼のではなく、私の薔薇だ。